ちょっと気になる言葉①「させていただきます」って正しいの?
最近、ある就活メディアの記事を編集しているなかで登場したのが
「~応募させていただきます」という敬語。
最近「~させていただきます」という文末は、メールや実際のビジネスシーンでもよく耳にします。
けれど、何となく気になる…。
この言葉って正しいの?
編集作業のなかでいろいろと知識を得たことから、備忘録としてまとめました。
目次
「~させていただきます」は間違いではない
文化庁のサイトをチェックしてみると、
「(お・ご)……(さ)せていただく」といった敬語の形式は,基本的には,自分側が行うことを,ア)相手側又は第三者の許可を受けて行い,イ)そのことで恩恵を受けるという事実や気持ちのある場合に使われます。したがって,ア),イ)の条件をどの程度満たすかによって,「発表させていただく」など,「…(さ)せていただく」を用いた表現には,適切な場合と,余り適切だとは言えない場合とがあります。
文化庁|第三話「敬語のTPO~依頼の仕方~」理解度チェックの解答
このようにあります。
自分が行うことに対して相手側や第三者の許可を受け、行った結果として恩恵を受けたりその事実への気持ちがあったりする場合に使われるのだそうです。
なかなか奥が深い。
「~させていただきますね!」
なんて、アパレルショップや飲食店などでもよくいわれますが、あまりに連発されるとちょっと気になる私。
シーンによって適切な場合とそうでない場合があるというわけなんですね。
「応募させていただきます」の場合は?
今回気になったのが「応募させていただきます」という表現。
一般的には、就活で企業の求人へ応募する場合、担当者や企業に許可を得て応募するということではなく、「自らの意思」で応募する企業を選び、応募します。
そのため、今回の場合は
「応募いたします」が適切なのかな、という見解です。
この他「させていただきます」の具体例は?
第三者の写真を撮る場合
「お写真を撮らせていただけますか?」
相手の許可を得たうえで写真を撮る、ということであれば、適切な表現だといえます。
第三者や皆で決めた順番で発表を行う場合
「それでは今から発表させていただきます」
許可を得たうえでの行動、ということになるため、こちらも適しているといえるでしょう。
条件を満たしていなくても使用する方法がある??
先述した文化庁のサイトによれば、①相手の許可を得たうえで行い、②その恩恵を受けたりその事実への気持ちがあったりするという2つの条件を満たしていなくても、あたかも満たしているかのように見立てて使用するという用法もあるのだとか。
なお,ア),イ)の条件を実際には満たしていなくても,満たしているかのように見立てて使う用法があり,それが「…(さ)せていただく」の使用域を広げています。上記の(2)~(5)についても,このような用法の具体例としてとらえることもできます。その見立てをどの程度自然なものとして受け入れるかということが,その個人にとっての「…(さ)せていただく」に対する「許容度」を決めているのだと考えられます。
文化庁|第三話「敬語のTPO~依頼の仕方~」理解度チェックの解答
んん??
そうなると、「応募させていただきます」は決して間違いではない、ということ?
どの程度自然なものとして受け入れるか、ということが許容度を決める??
「させていただきます」は、敬語としてはなかなか使用するのがむつかしい言葉のひとつですね。
文化庁も、「敬語おもしろ相談室」と明示しているのであれば、もう少し明確な見解を示してほしいものです。
ただ、この「させていただきます」は相手の印象によっては「まどろっこしい」「仰々しい」「間違った表現だ」と捉えられる可能性も否めません。
特に就活など、マナーが重要視されるようなシーンでは、濫用は控えたほうがよさそうです。
ということを、記事の執筆者であるインターン学生にもお伝えした次第です。
言葉というのは、ほんのちょっとした使い方・ニュアンスひとつで、相手の印象をグッと変える可能性があります。
一つひとつの言葉・単語を大切にしたいものですね。
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